技術・人文知識・国際業務ビザの派遣社員就労形態が問題視|入管庁が実態調査へ

2025年8月、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)を持つ外国人派遣社員の就労実態が大きく報道され、入管庁が調査に乗り出す方針を示しました。本記事では、なぜ問題になっているのか、どのような背景があるのか、そして今後どのような影響が想定されるのかを、専門的な視点から解説します。


目次

技術・人文知識・国際業務ビザとは?

技術・人文知識・国際業務ビザ(いわゆる「技人国」ビザ)は、外国人が日本で高度な専門知識やスキルを活かした業務に従事するための在留資格です。

  • 主な対象業務:
    • システムエンジニアやプログラマーなどの技術系職種
    • 経営企画・貿易業務・通訳などの人文知識系職種
    • 国際取引・マーケティングなどの国際業務職種

つまり、一定の知識や技術が必要であり、荷物の仕分けや清掃などの単純労働は対象外です。


なぜ派遣社員の就労形態が問題視されたのか?

2025年8月の報道によると、技人国ビザを持つ外国人派遣社員の一部が、派遣先で本来認められない単純作業に従事している事例が確認されました。これが「在留資格の趣旨に反する働き方」だとして、入管庁が実態調査に着手する方針を発表しました。

  • 2024年末時点で約41万人が技人国ビザを保有
  • そのうち約4万人(全体の1割)が派遣契約で就労
  • 一部派遣先で「通訳や生産管理」といった名目で受け入れつつ、実態は単純作業というケースがある

このようなケースは、不法就労助長や在留資格取消しにつながるリスクがあり、企業・外国人双方にとって重大な問題です。


入管庁の対応と今後の動向

入管庁は、今後以下のような対策を強化するとみられています。

  • 派遣先企業への実態調査
  • 派遣会社への法令遵守指導
  • 違反が確認された場合の改善命令や行政処分
  • 必要に応じた制度改正や規制強化

特に派遣形態は監視が難しく、不正利用の温床となる可能性があるため、今後の規制強化は避けられないでしょう。


企業が注意すべきポイント

外国人材を派遣や直接雇用する企業は、以下の点を徹底する必要があります。

  1. 業務内容が在留資格に適合しているかを確認
  2. 雇用契約書や業務委託契約書を明確化
  3. 入管庁や行政書士に事前相談する体制を構築
  4. 不適切な就労を防止する内部管理ルールの整備

特に「派遣先の業務が単純作業になっていないか」を定期的にチェックすることが重要です。


外国人本人が注意すべきこと

外国人本人も「自分のビザで許可されている業務内容」を理解しておく必要があります。もし不適切な業務を命じられた場合は、契約会社や専門の行政書士に相談し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。


まとめ

技術・人文知識・国際業務ビザを持つ外国人の派遣労働は、今後さらに厳しくチェックされる見込みです。企業にとっては法令遵守と正しい雇用管理が求められ、外国人にとっては在留資格に合う適正な活動が不可欠です。もしご不安がある方は、外国人ビザ専門の行政書士にご相談ください。

お問い合わせ | 行政書士鴻森事務所

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次