在留資格「経営・管理」の申請で提出する 事業計画書 は、入管審査で最も重要な書類の一つです。
単に「作り方の形式」を満たすだけでなく、「事業が継続的かつ安定的に運営できる」と説得できる内容に仕上げることが重要です。
以下で、作成方法を 構成・書き方のポイント・注意点 に分けて解説します。
1. 事業計画書の基本構成
入管が確認したいのは「事業の実現性・収益性・継続性」です。
多くの場合、以下の構成で作成します。
- 表紙
- 事業計画書のタイトル(例:「事業計画書(○○株式会社)」)
- 作成年月日、会社名、代表者名
- 事業概要
- 会社名、所在地、設立日(予定可)
- 資本金、出資者、代表者経歴
- 事業の目的(例:日本国内での○○事業展開)
- 事業の背景・目的
- なぜこの事業を日本で行うのか
- 市場ニーズや社会的背景(市場調査結果)
- 他社との差別化ポイント
- 事業内容
- 提供する商品・サービスの詳細
- 提供方法(店舗営業、オンライン販売など)
- 価格設定、販売ルート
- 市場分析
- 対象顧客層(BtoBかBtoCか)
- 競合分析(競合他社、優位性)
- 日本国内市場の動向(統計データが有効)
- マーケティング戦略
- 集客方法(広告、SNS、展示会など)
- 販路計画(直販、代理店、ECサイトなど)
- 組織・人員計画
- 従業員の人数、採用時期
- 役割分担、勤務形態
- 外国人社員の雇用予定があれば詳細を記載
- 財務計画
- 初期投資額と内訳(店舗契約費、設備費、仕入れなど)
- 資金調達方法(自己資金・借入)
- 損益予測(3年間が望ましい)
- 売上高、売上原価、経費、利益
- 資金繰り表
- 事業スケジュール
- 開業までのスケジュール(契約→仕入れ→営業開始)
- 初年度の営業活動計画
- 添付資料
- 代表者の職務経歴書
- 市場調査のデータ
- 店舗や事務所の賃貸契約書(予定)
- 商品写真や図面
2. 作成のポイント(入管が見る観点)
入管は次の3つを重視します。
- 継続性
→ 資金が十分にあり、長期間事業を続けられるか
(資本金・自己資金・売上予測が根拠付きで説明されているか) - 安定性
→ 事業計画が現実的か
(市場調査・競合分析・採算見込みが数字で示されているか) - 実現性
→ 計画通りに実行できる経歴やスキルがあるか
(代表者の職務経歴や実績が事業内容と関連しているか)
3. 注意点
- 数字の根拠を示す
「年間売上1,000万円見込み」ではなく、「顧客単価×月間顧客数×12か月=年間売上」のように計算式を入れる。 - 市場データは客観的資料を引用
経産省・総務省の統計、業界団体の調査データなどが有効。 - 赤字でも問題ない場合がある
新規事業は初年度赤字でも、2~3年目で黒字化する計画なら現実的と判断されることもある。 - 専門用語は避ける
入管審査官は必ずしも業界経験者ではないため、一般人でも理解できる言葉で記載。
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