経営管理ビザの審査要件が変更に
在留資格「経営・管理」に関する要件が大幅に変更されます。
特に注目すべきは、これまで資本金500万円で申請可能だったものが【3000万円】に引き上げられたことが注目されていますが、さらに【常勤職員を1名以上雇用すること】が新たな要件として加わる点です。
本記事では、新たに加わった「常勤職員1名以上の雇用」が、ビザ申請者にとってどのような難しさをもたらすのか、具体的に解説します。
常勤職員とは?入管が求める要件を理解しよう
まず、「常勤職員」とは、以下のような条件を満たす従業員が想定されます:
- 日本に居住する日本人または永住者など(在留資格の制限がない者)
- 日本に居住所定の就労可能な外国人
- フルタイム(週40時間以上勤務)の雇用契約を締結している者
- 社会保険・雇用保険に適切に加入していること
つまり、単なるアルバイトや短期契約者では要件を満たさず、正式な正社員としての雇用契約と社会保険加入が必要です。
難易度①|起業時から人件費の固定コストが発生
常勤職員を雇用するということは、起業直後から毎月の人件費(給与+社会保険料など)が発生することになります。
例)月給25万円+社会保険料約8万円 → 毎月約33万円の固定支出
まだ売上が不安定な創業初期に、このコストを継続的に支払うには、事前の資金計画と安定したビジネスモデルが求められます。
難易度②|人材の確保が困難
「雇いたくても応募者が来ない」「信用がない会社に人が集まらない」
こうした問題に直面する外国人起業家も少なくありません。特に、以下の点で課題が出やすくなります:
- 日本語能力が不十分で採用活動が円滑に行えない
- 外国人のみで構成された会社に不安を持つ求職者が多い
- 起業時点では知名度・実績がなく信用を得にくい
結果として、常勤職員を確保できないためにビザ申請が進まないという事態も起こりえます。
難易度③|就業実態・労働環境の整備も必要
常勤職員の存在は、入管に対して「安定性・継続性のある事業であるか」を示す材料となります。
そのため、以下のような点がチェックされる可能性が高くなります:
- 雇用契約書の適正性(給与額、勤務時間、福利厚生など)
- 勤務場所の確保と安全性(事務所要件の強化)
- 勤務記録や出勤管理体制(労務管理の適正性)
形式だけの雇用では、申請後の審査で不許可となる恐れもあるため、実態として機能する雇用関係の証明が求められます。
難易度④|税務・労務管理の複雑化
常勤職員を雇用すれば、法人として以下のような義務が発生します:
- 社会保険・雇用保険の加入手続きと納付
- 労働保険料の申告
- 給与計算・源泉徴収・年末調整
- 雇用契約書・就業規則の整備
こうした労務・税務の正確な運用は、外国人起業家にとっては大きなハードルとなるため、専門家のサポートが必要不可欠になります。
対策:専門家の協力で確実な準備を
常勤職員の雇用が新たな審査要件となった今、「一人でできるから大丈夫」という考え方では通用しません。
以下のような対策が重要です:
- 事業計画に人件費と採用計画を明確に盛り込む
- 事前に求人活動を開始して雇用の見通しを立てておく
- 社会保険手続きや給与計算を正しく行う体制を整える
- 行政書士や社会保険労務士など専門家に相談する
まとめ:新要件で経営管理ビザのハードルは確実に上がった
2025年以降の新基準により、「経営管理ビザ」は形式的な要件では通用しない本格的な経営力が求められるようになります。
特に、常勤職員の雇用は、資金力・採用力・労務管理など、あらゆる側面での準備が必要となるため、これまで以上に申請の難易度は高まります。
成功のカギは、「計画」と「専門家との連携」です。
事前の準備と正確な手続きで、在留資格「経営・管理」の取得を確実に進めましょう。
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