日本で会社を設立した外国人経営者にとって、最初の大きな壁が「法人口座の開設」です。
実際、都市銀行やゆうちょ銀行では審査が非常に厳しく、「口座を作れない」「審査に時間がかかる」という相談が後を絶ちません。
しかし近年、オンラインバンク(ネット銀行)や外国人向けのサポート体制を整えた銀行が増え、開設のチャンスが広がっています。
この記事では、最新の傾向とともに、外国人経営者におすすめの銀行を比較して紹介します。
1. 都市銀行での口座開設はなぜ難しいのか
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などの都市銀行は、信頼性が高く多くの企業が利用しています。
しかし、外国人代表者が登記されている法人に対しては審査が非常に厳格です。
審査でチェックされる主な項目は次の通りです:
- 日本に居住しているか(在留カードの確認あり)
- 会社の実態(事務所・従業員・取引先)が明確か
- 資本金・事業内容・今後の売上見込み
- バーチャルオフィスでないか
実際に日本人経営者でも「登記後すぐ」「事業実績がない」段階では、ほとんどの都市銀行で断られる傾向にあります。(おおむね3期分の決算書が必要なようです)
そのため、創業初期の外国人経営者はオンラインバンクを活用するのが現実的です。
2. 外国人経営者におすすめのオンライン銀行比較表
以下の表は、外国人が日本で会社を設立した後に利用しやすいオンラインバンクの比較です。
(当事務所で経営・管理ビザを取得した方の傾向)
| 銀行名 | 外国人対応 | 審査の柔軟さ | 特徴 | 開設までの期間 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|
| GMOあおぞらネット銀行 | ◎(在留カード・登記簿でOK) | ◎柔軟 | 登記直後でも開設可能な事例あり。API連携・会計ソフト対応が充実 | 約1〜2週間 | ★★★★★ |
| 楽天銀行 | ○(在留資格要確認) | ○普通 | 法人口座数が多く、ネット完結。外国人名義も可 | 約1〜2週間 | ★★★★☆ |
| PayPay銀行 | ○(日本語対応のみ) | ○やや厳しい | スマホ中心の使いやすさ。個人事業からの法人化にも適する | 約2週間 | ★★★☆☆ |
| 住信SBIネット銀行 | △(日本在住必須) | ○普通 | 外国人の登記情報確認に時間がかかる傾向あり | 約2〜3週間 | ★★★☆☆ |
ポイント:
特に「GMOあおぞらネット銀行」は、外国人経営者が口座開設がしやすいようです。
3. 審査に通りやすくするための準備
オンライン銀行であっても、最低限の実体・書類は必要です。
審査通過率を高めるために、次の3点を準備しておきましょう。
(1) 事業内容を明確に説明する資料
銀行は「何のビジネスをしているか」を重視します。
事業計画書やホームページを提示すると信頼度が高と思われます。
また、口座開設前に、必要な許認可を取得していることが望ましいです。
(2) 実際のオフィス所在地
自宅兼事務所でも問題ない銀行が多いですが、「郵便物が届く住所」「固定電話」「名刺」などの存在を確認される場合があります。
バーチャルオフィスのみでは、拒否されるケースもあります。
(3) 在留資格と本人確認
代表者の在留カード、パスポート、マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。
「経営・管理」や「永住者」「日本人の配偶者等」など、安定した在留資格であるほど審査はスムーズになります。
4. オンライン銀行を利用するメリット
オンラインバンクは、外国人経営者にとって次のような利点があります。
- ✅ すべてオンラインで完結(来店不要)
- ✅ 申請画面が英語対応している銀行もある
- ✅ 会計ソフト(freee、マネーフォワード等)との連携が容易
- ✅ スマートフォンだけで振込・残高管理が可能
開設のスピードも早く、創業直後の資金管理・入金受け皿として非常に便利です。
また、将来的に事業が安定してから、都市銀行への口座追加申請を行うことも可能です。
5. 豊島区・池袋でのサポート事例
東京都豊島区・池袋周辺でも、外国人の法人口座開設に関する相談は増えています。
特に、会社設立直後の段階では「どの銀行を選べばよいか分からない」という声が多く、
当事務所は、事業計画書・銀行審査対策書類の作成をサポートするケースも増加しています。
行政書士によるサポートを受けることで、
- 申請書類の整備
- 銀行担当者への説明補助
- オンラインバンク申請フォームの記入代行(法的範囲内)
などがスムーズに行えるため、審査通過率が大幅に向上します。
まとめ:外国人経営者は「オンラインバンク」から始めるのが現実的
日本での事業をスムーズに立ち上げるためには、
まずは審査が柔軟なオンラインバンク(特にGMOあおぞらネット銀行や楽天銀行)を活用し、
事業実績が積み上がった段階で都市銀行への口座開設に挑戦するのが理想的です。

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