― 政府方針の転換で“技人国ビザ”はどう変わる?不許可を避ける実務ポイント ―
日本の大学・専門学校を卒業し、日本で就職する外国人留学生の多くが申請する在留資格が、 **「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」**です。
しかし、
- 「内定があるのに不許可になった」
- 「会社は問題ないと言っていたがビザが出なかった」
という相談が当事務所には毎年あり、今後はさらに増える見込みです。
その背景には、政府による在留管理の厳格化方針があります。
この記事では、
- これから技人国を申請する留学生
- 就職活動中・内定済みの留学生
に向けて、最新の政府方針を踏まえたうえで、許可率を高めるために必ず知っておくべきポイントを、在留資格専門の行政書士の実務視点で解説します。
技術・人文知識・国際業務(技人国)とは?【基本の確認】
「技術・人文知識・国際業務」とは、 専門的な知識・技術を使って働く外国人のための就労ビザです。
主な対象業務例
- ITエンジニア・プログラマー
- 経理・財務・人事・法務
- 企画・マーケティングを含む営業職
- 通訳・翻訳
- 海外取引・国際業務
⚠️ 接客・工場作業・倉庫作業などの単純労働は原則対象外です。
【重要】政府は技人国の在留管理を「厳格化」する方針を明確化
近年の政府方針・報道により、
技術・人文知識・国際業務について、在留資格の趣旨に合わない就労は厳しくチェックする
という姿勢が、明確に打ち出されています。
なぜ厳しくなるのか?(背景)
- 技人国で入国しながら、実態は単純労働
- 専門性のない業務への形式的なビザ利用
- 外国人労働者の急増による制度の形骸化
その結果、今後は
- 学歴と仕事内容の関連性
- 業務内容の専門性
- 受入企業の適正性
が、これまで以上に厳しく審査されます。
留学生に最も影響が大きい「政府方針の3つのポイント」
① 専攻内容と仕事内容の関連性が最重要
入管は次の点を重視しています。
- 大学・専門学校で何を学んだか
- その知識を、実際の業務でどう使うのか
👉 「卒業している」だけでは不十分
書類上で論理的に説明できなければ、不許可リスクが高まります。
② 「誰でもできる仕事」は技人国に該当しない
- マニュアル通りの事務作業
- 接客が中心の業務
- 現場作業が大半
このような内容は、 今後ますます不許可になりやすい傾向にあります。
③ 会社側の管理体制も厳しくチェック
政府は、 外国人本人だけでなく、受入企業の責任も重視しています。
- 事業内容と職務内容の整合性
- 継続的・安定的な雇用が可能か
- 技人国制度を理解しているか
- 社会保険と労働保険の加入
👉 会社の問題で不許可になるケースもあります。
技人国は「取れなくなる」のではありません
誤解されがちですが、政府の方針は 外国人を排除することが目的ではありません。
✔ 専門性がある ✔ 学歴と業務内容が合っている ✔ 適正な企業で働く
この条件を満たせば、 今後も技人国の取得は十分可能です。
申請前に必ず確認すべき5つのチェックリスト
① 学んだ内容と仕事内容を説明できるか
→ 書類で説明できない内容は、評価されません。
② 業務内容は専門職と言えるか
→ 職種名より実際の業務内容が重要です。
③ 雇用条件は日本人と同等以上か
→ 給与・社会保険・雇用形態を厳しく見られます。
④ 会社はビザ申請を理解しているか
→ 「会社任せ」は危険です。
⑤ 申請時期は早いか
→ 4月就労の場合、前年12月〜1月申請が強く推奨されています。
【よくある不許可事例】留学生の失敗パターン
- IT専攻だが、電話対応・入力作業中心
- 経営学専攻だが、店舗接客のみ
- 「通訳」と聞いていたが実態は雑務中心
- 会社が技人国の要件を理解していない
👉 本人に落ち度がなくても、不許可になることがあります。
技人国申請は「事前対策」で結果が決まる
在留資格申請では、 書類に書かれていない事実は存在しないと扱われます。
- なぜこの仕事なのか
- なぜあなたでなければならないのか
- なぜこの会社なのか
これを論理的に説明できるかどうかが、許可・不許可を分けます。
まとめ|これから技人国を申請する留学生へ
- 技人国は「簡単な就労ビザ」ではなくなった
- 政府は制度の適正運用を明確に進めている
- 準備不足の申請は不許可リスクが高い
少しでも不安がある場合は、 在留資格を専門とする行政書士へ、申請前に相談することを強くおすすめします。
当事務所は、池袋駅近くで外国人の在留資格(技人国・留学・永住など)を専門に取り扱う行政書士事務所です。

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