経営管理・技術人文の更新で注意すべき実務ポイント
今年の夏以降、当事務所では、経営管理ビザや技術・人文知識・国際業務ビザの更新申請において、
東京出入国在留管理局から「法定三帳簿」の提出を求められるケースが増えています。
「うちはきちんと申告しているのに、なぜ帳簿を求められるのか?」
「どの帳簿をどのように出せば良いのか分からない」
このような相談が、当事務所(池袋・行政書士鴻森事務所)にも多く寄せられています。
本記事では、最新の入管審査傾向と、提出を求められた際の正しい対応方法を詳しく解説します。
🔹なぜ今、入管が「法定三帳簿」を重視するのか?
2025年の夏以降、入管の審査は「形式審査から実態審査へ」と大きく変化しています。
とくに、経営管理ビザや技人国ビザでは、
「実際に会社が稼働しているか」「外国人が本当に働いているか」を厳しく確認しています。
背景には、
- 名義貸し会社・架空雇用の増加
- 外国人労働者の不正在留対策
- 社会保険・税務未加入企業の増加
といった社会問題があり、入管はこれを防ぐため、
法定三帳簿の提出=雇用実態の証明として求めているのです。
🔸「法定三帳簿」とは? 入管が見るポイント
| 帳簿名 | 内容 | 入管の注目ポイント |
|---|---|---|
| ①労働者名簿 | 従業員の氏名・住所・在留資格・雇用開始日などを記載 | 外国人雇用届と一致しているか、在留資格の管理ができているか |
| ②出勤簿 | 出勤日・労働時間・休日を記録 | 架空在籍でないか、勤務実態があるか |
| ③賃金台帳 | 給与額・支給日・控除内容などを記載 | 給与が実際に支払われているか、社会保険加入・源泉徴収の有無 |
💡これら3帳簿は、労働基準法第107条~第109条により整備・保存が義務付けられています。
入管が求める理由は「雇用の実態を確認するため」です。
🔹経営管理ビザでの提出事例
「経営・管理」在留資格の更新では、
役員報酬・従業員の雇用実態・会社の継続性が審査の中心です。
最近では、
- 役員が外国人である場合
- 外国人従業員を雇用している場合
- 決算書や社会保険の資料だけでは実態が不明な場合
に、法定三帳簿の提出を求められる傾向があります。
📌注意点
・賃金台帳に記載がない、または現金払いで証憑がない場合は不許可リスク。
・社会保険未加入や給与水準の不自然さもチェック対象。
・取締役の活動実態(出勤・業務報告書等)も確認されることがあります。なお、当事務所の案件で、2025年10月に、代表者の「賃金台帳」の提出を求められました。
🔹技術・人文知識・国際業務ビザでの提出事例
「技術・人文知識・国際業務」の更新では、
契約書だけでなく、実際に働いているかが重視されます。
特に、
- 外国人社員が複数在籍する小規模企業
- 直近で事業規模が縮小している企業
- 兼業・副業の疑いがある場合
には、法定三帳簿の提出を求められるケースが目立ちます。
入管は、出勤簿・賃金台帳・雇用契約書を突き合わせ、
「契約と現実の勤務状況が一致しているか」を審査しています。
🔹提出を求められた場合の対応手順
① 法定三帳簿を整備する(原則、過去1年分)
労働基準法に基づき、常に整備・保存が必要です。
更新申請直前に慌てて作成するのではなく、日常的に管理しておきましょう。
作成に不安がある場合、当事務所と提携している社会保険労務士を紹介します。
② 雇用契約書・社会保険証明と整合性を取る
給与金額・勤務日数・勤務時間などに矛盾がないか確認します。
入管は「実態の整合性」を厳しく見ています。
③ 給与は銀行振込で証明できる形に
現金払いは実態証明が難しくなります。
銀行振込記録を添付することで信頼性が高まります。
④ 不備がある場合は「改善報告書」を提出
帳簿に不備がある場合、無理に作り直すよりも、
現状と改善方針を明記した「改善報告書」を添付する方が誠実な対応と評価されます。
🔹行政書士がサポートできること
入管が見るのは「書類の枚数」ではなく「整合性」です。
当事務所では、
- 労働3帳簿の内容と申請書類の整合性チェック
- 提出時のリスク判定と改善提案
- 経営管理・技人国の更新に特化した書類作成
を専門的にサポートしています。
また、必要に応じて税理士・社労士と連携し、
社会保険・給与・在留資格が一貫した形で整うよう支援いたします。
🔹まとめ|「帳簿の中身」を整えることが、在留資格維持の第一歩
いま、入管は「会社が本当に動いているか」を見ています。
形式的な契約書や決算書だけでは、更新が認められない時代です。
「経営管理」でも「技術・人文知識・国際業務」でも、
労働3帳簿の整備=在留資格を守るための基本です。
入管から提出を求められた際は、慌てず、専門家に相談してください。
的確に整えれば、更新審査は確実にスムーズになります。
🏢行政書士鴻森事務所(池袋)
当事務所では、
- 経営管理ビザの更新・変更
- 技術・人文知識・国際業務の更新
- 法定三帳簿の確認
を一貫して対応しています。
外国人経営者や企業の方で「入管から書類提出を求められた」という方は、
まずはお気軽にご相談ください。
📍所在地:東京都豊島区西池袋3-33-19白鷗マンション308
📞 ご相談予約:公式サイト お問い合わせ | 行政書士鴻森事務所

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